Nuss法漏斗胸手術手技研究会

我が国の胸壁疾患治療の向上と発展をめざして

会長挨拶

第24回 Nuss法漏斗胸手術手技研究会 開催のご案内

関係各位

ごあいさつ

このたび第24回Nuss法漏斗胸手術手技研究会を、長野県長野市にて開催させていただきます。
今回は CHEST WALL INTERNATIONAL GROUP(CWIG)年次総会との共同開催 という形で、世界各国から胸郭変形治療に関わる専門家が一堂に会する貴重な機会となります。

本研究会では、漏斗胸に代表される胸郭変形を中心に、胸部外傷や悪性腫瘍切除後の再建など胸郭領域における多岐にわたる課題について、外科医のみならず看護師、理学療法士をはじめとする多職種の視点からも議論を深めていく予定です。
グローバルな視点で現在の胸郭疾患治療を再考することは、参加される皆様にとって臨床力を高める絶好の機会となるものと確信しております。

今回の研究会では、「至適手術時期」をメインテーマとしました。

Nuss法においては、一般的に12〜15歳が最適とされており、それより早期の手術は成長に伴う再発リスクがあるとも言われています。しかし実際の臨床現場では、国や施設の医療体制、社会的背景によって方針が異なり、特にアジア圏では思春期前の早期手術が今も多く行われています。

こうした背景を踏まえ、今回の研究会では、「思春期前に手術を行うべきか、それとも成長を待つべきか?」というテーマで、異なる立場の専門家によるディベート形式のセッションを設けます。
早期治療を支持する立場では、成長を見越した胸郭形成によって再発は防げるという考え方がある一方、成長の予測困難さや再手術のリスクを懸念する意見も根強くあります。このディベートを通じて、“至適時期”の判断に関するこれまで曖昧だった部分につき、長期経過例も交えながら多角的に議論し、日常臨床での判断に役立つ視点を提供できればと考えています。

また近年では、“至適時期”を過ぎた成人患者への対応も増えており、Nuss法単独では難しいケースに対しては、骨切りを併用するなどの複合的な手技が取り入れられています。
今回の研究会では、これらの成人例に対する治療についても、術式ごとの利点・限界、適応の考え方など、より実践的なディスカッションを行う予定です。

今回の研究会は3日間の会期で、基礎から応用まで幅広くカバーするプログラムを用意しています。
基本的なレクチャーに加え、実際の器具を使ったハンズオンセッションでは、初学者の方には操作手順や注意点を実地で学べる貴重な機会になると思います。
また、経験のある先生方にも、新しい知見や技術の再確認の場としてご活用いただけるように構成しています。「これまで数例しか漏斗胸の治療経験がない」という中堅医師の方から、「関心はあるが、診療の実際がわからない」という若手医師の方まで、あらゆるレベルの参加者にとって参加してよかったと思っていただける内容を目指して準備を進めています。

ぜひ、多くの先生方、看護師、リハビリテーションスタッフなど関連職種の皆様にご参加いただき、国内外の最新の知見と技術に触れ、活発な交流の場としていただければ幸いです。
長野の地で皆様にお会いできることを、心より楽しみにしております。

謹白
2025年 7 月吉日
第24回Nuss法漏斗胸手術手技研究会
第 25 回 CHEST WALL INTERNATIONAL GROUP 年次総会
会長 野口 昌彦(長野県立こども病院形成科)